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1996年に米国のOffenbacherらにより初めて、歯周組織の健康状態の悪化が早産および低体重児出産と関連があることが報告された。その後、世界各国で歯周病とPLBWとの関連が報告され、私どもも2003年に日本における結果を報告した。切迫早産と診断されたが医科的に原因不明とされた妊婦と通常妊婦を対象に歯周組織の状態などを検査した。その結果、切迫早産の妊婦は通常出産妊婦と比較し、歯周組織健康状態の悪化が認められ、切迫早産で早産であった妊婦は、口腔内の歯周病細菌、特にTannerella forsythensisが高頻度で検出され、血清中のIL-8、IL-1βの値が上昇していることを明らかにした。


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歯周治療がPLBWに与える効果に関して、Lopezらが初めて報告した。彼らによれば、歯周治療(口腔清掃指導、局所麻酔下での除石)を行った妊婦と、行わなかった妊婦のPLBWの出生率を比較した結果、歯周治療を行わなかった妊婦のPLBWの出生率は10.11%であったのに対し、歯周治療を行った妊婦の出生率は1.84%と有意に改善が認められた。このことにより、歯周治療がPLBWのリスク軽減に対し、効果的であること、さらには、歯周病とPLBWの関連性が明確になったことが示唆された。
その後、歯周治療のPLBWへの改善効果が報告されたが、Michalowiczらは、歯周治療を行った妊婦と、行わなかった妊婦のPLBWの出生率に有意な差が認められなかったため、歯周治療が与える効果はないことを報告した。
このように、歯周治療がPLBWに与える効果に関しても、その結果について違いが認められる。その理由の1つとして歯周治療による歯周組織改善度の違いがあげられている。


少子高齢化社会を迎え、さらに妊婦の高年齢化の進む日本では、PLBWは重要疾患の1つである。その産科的疾患が予防・治療可能な沿推移病と関連性が示唆されたことは、医科だけでなく社会的にも強いインパクトがある。さらに歯周治療により、早産・低体重児出産のリスク因子を軽減させることは、妊婦にとっても有益である。また医療費削減が国の緊急課題となってる現在、比較的医療費の少ない歯周治療を行うことによって、PLBWの妊娠中、出産後にかかる医療費を抑制できることも注目すべき点であろう。
妊婦が歯周病とPLBWの関連性を強く認識し、口腔内の健康状態の向上を意識することは、PLBWの予防につながり、生まれてくる子供の口腔内の健康状態の向上、さらには日本人の口腔内の健康状態の向上につながることが期待できる。

